ブランド “junto (フント)”を立ち上げたきっかけ
多くの途上国では社会の階層がはっきり分かれています。メキシコの場合、裕福に暮らすスペイン系白人がいる一方、先住民の70%は貧困層、更にその30%は極貧層に分類され生活必需品さえ手に入れられない状況にあると言われています。
私が旅をしているとき下町で出会った先住民家族は、自分の村から出稼ぎにきていました。下町へ来る観光客に村の人たちが作った民芸品を売ることで生計を立てていたのです。村から出てきた彼らに家はなく、下町の中央広場にテントを張って住んでいました。冬も素足にサンダルでした。
私はメキシコに長年住む中で、一人ひとりの人生のスタート地点が大きく違うことに違和感を感じました。努力したら努力した分だけ報われる世界であってほしい。そんな思いからこのブランドを立ち上げました。
メキシコには野良犬が非常に多く(約1,800万匹といわれています)車にひかれ道端で亡くなっている犬を何度も目にしました。
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あるとき職場の前に迷い込んだ一匹の犬を保護しました。そして迷い犬を受け入れてくれるシェルターを探しましたが、メキシコには捨て犬が多すぎるため受け入れてくれる施設がなく、新しい家族を見つけるまで預かることにしました。
しかし里親探しは簡単ではなく、多くの知人に飼える人がいないか聞いて回りましたが「放っておきなさい」「最初から拾うのが間違いなんだ」と言われました。そして毎週末ダウンタウンを何時間も一緒に歩き、何とか新しい飼い主を見つけることができました。
私にもそのとき飼っている犬がいましたが、その犬は生まれた時から不自由なく育ちました。しかし捨てられた野良犬たちは全く違う人生を歩みます。屋根のないところで、愛情を知らないまま、誰にも悲しまれることもなく死んでいくのです。 そんな犬を一匹でも減らしたい、何年かかるかわかりませんが、そのためのシェルターをメキシコに作りたいと思います。