10/12/2024
今年の正月休みが例年より少し長いことから、海外旅行を予定しておられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
海外旅行で気をつけていただきたいのは、犬との接触です。傷のない皮膚をなめられた程度ならとくに心配することはないですが、咬まれた場合、きちんと処置をしないと狂犬病に罹患するおそれがあります。
日本は世界でたった9カ国しかない『清浄国』で、狂犬病の発症がない国ですが、海外のほとんどは狂犬病発生国であることをお忘れなく、油断しないようにしてください。
狂犬病は、咬まれたあとにワクチン接種を行っても発症を防ぐことができる、珍しい病気です。しかし、いったん発症、つまり症状が出てしまってからでは、ほぼ100%助かりません。咬まれてからすばやく処置することが大切なのです。
帰国してから人間用の狂犬病のワクチンを日本で接種しようとしても、流行国ではない日本では、ワクチンを保持している病院が限られています。すみやかに現地の病院を受診しましょう。
流行国においても、通常、咬まれる前にワクチン接種は行いません。旅行前にワクチン接種をおこなう必要はありませんが、咬まれた場合、とくに血が出るくらい咬まれた場合は、ただちに流水で洗い、病院を受診しましょう。
かつて、狂犬病の発生のなかったバリ島ですが、この島の犬への狂犬病予防接種率は流行前はわずか3.3%でした。結果的に狂犬病が流行してしまい、今でも毎年20名程度の死者が出ています。
犬の飼い主さんは、しっかり予防接種を行いましょう。狂犬病の予防接種は犬と自分を守るだけでなく、みんなの安全を守ることにつながります。流行地の患者の多くは、10歳以下の子どもです。病気等で打てない場合をのぞき、確実に接種しておくことをお願いします。