新潟動物画像診断センター

新潟動物画像診断センター 新潟県長岡市にある犬猫の画像診断専門動物病院です MRI・CTの画像診断を動物病院からの完全紹介制・完全予約制にて実施しています。腫瘍(がん)や神経疾患(てんかん、椎間板ヘルニア)などでお困りの場合はご相談ください。
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特発性振戦症候群の症例紹介です。動画をぜひご覧ください。
30/12/2022

特発性振戦症候群の症例紹介です。動画をぜひご覧ください。

犬の特発性振戦症候群についての解説動画です。臨床症状・神経学的検査・MRI・脳脊髄液検査でどのように診断していくかご覧ください。

猫の肺指症候群雑種猫 12歳齢 去勢雄3週間前に右後肢挙上が認められ、同時に食欲低下も伴っていた。右後肢は触診・視診にて明らかな異常がなく、プレドニゾロンと抗生剤の注射を実施したところ、一時的に右後肢の改善と食欲の改善がやや認められた。しか...
13/08/2022

猫の肺指症候群

雑種猫 12歳齢 去勢雄
3週間前に右後肢挙上が認められ、同時に食欲低下も伴っていた。
右後肢は触診・視診にて明らかな異常がなく、プレドニゾロンと抗生剤の注射を実施したところ、一時的に右後肢の改善と食欲の改善がやや認められた。しかし、その後も症状が持続しており、後肢のX線撮影を実施したが明らかな異常は確認されなかった。
その後も、症状改善がないために、新潟動物画像診断センターに紹介来院した。
後肢は撮影されていたものの、後肢端まで撮影・評価されていなかっため、X線撮影を実施したところ、右後肢の第3趾に骨膜反応が認められた。また胸部X線検査において、右肺後葉に軟部組織腫瘤が発見された。
精査としてCT検査が実施されたところ、右肺後葉腫瘤以外にも、全身の筋肉内にリング状に造影増強される多発性病変が発見された。
多発する軟部組織腫瘤をバイオプシーすると病理検査にて癌腫と診断され、肺腫瘤や右後肢の第3趾をFNAすると同様の上皮系悪性腫瘍を疑う細胞が多数確認されことから、肺腺癌の全身転移(筋肉・骨など)と診断された。

<まとめ>
猫の肺指症候群は、原発性肺腫瘍が指に転移しやすく、呼吸器症状よりも先に跛行によって腫瘍が発見されやすい。肺指症候群は極めて予後が悪く、中央生存期間は67日程度とされている。
今回、跛行の原因精査として後肢端までX線撮影されていなかったため、同部位の評価も追加撮影されるべきである。また肢端を撮影するためには、2方向撮影が必要となる。撮影されたCdCr像のように指が伸びて爪先まで観察されるようにポジショニングさせる。特に、ML像では工夫が必要であり、そのまま側方から撮影すると指が重複することから第2趾と第4肢にテープをかけて頭側と尾側にけん引することで扇状に指が開き、重複を避けることができる。
実際に本症例は、肉眼上、足先に異常は一見すると確認できず、X線検査による病変の発見が必要であった。また足先の病変を発見したら、猫の肺指症候群を意識して、速やかに胸部X線も撮影し、原発巣である肺病変の有無を確認すべきである。
また指先だけではなく、その他にも転移巣が存在する可能性があるため、CT検査による探索も有用となる。

6月に出版した「犬と猫のCT読影入門」の連動セミナーが9月にWEBセミナーとして開催されます。実際のCT読影のコツを、ビューアーで読影する様子を見てもらいながら、書籍には書ききれなかった、CT読影の手順やコツをお伝えする予定です。【書籍セッ...
09/08/2022

6月に出版した「犬と猫のCT読影入門」の連動セミナーが9月にWEBセミナーとして開催されます。

実際のCT読影のコツを、ビューアーで読影する様子を見てもらいながら、書籍には書ききれなかった、CT読影の手順やコツをお伝えする予定です。

【書籍セット】一般臨床医のための基礎から学ぶCT読影 入門セミナー|VETS ACADEMY (eduone.jp)
https://academy.eduone.jp/seminar/detail/10039/

【セミナー単体】一般臨床医のための基礎から学ぶCT読影 入門セミナー|VETS ACADEMY (eduone.jp)
https://academy.eduone.jp/seminar/detail/10038/

すでに書籍購入されている方は、セミナー単体、書籍未購入の方は書籍セットからお申し込みください。

VETS ACADEMYは獣医療従事者のための、獣医学教育プラットフォームサービスです。第一線で活躍する一流講師陣による、診療に役立つコンテンツを公開。トピック・習熟レベルに合わせて開講しているので、個人の学習ニーズ...

23/06/2022

新潟動物画像診断センターは今月で、開業10周年を迎えました。
この10年間の診療活動の一部をまとめたものが書籍として出版されました。
「犬と猫のCT読影入門」
CT読影の専門書籍は国内で販売されているものはなく、これまでは雑誌や学会などで分散した学習を受けるのみでした。
そこで、当院の症例および読影依頼のあった症例をまとめながら、体系的にCT読影ができる書籍を1年以上をかけて書き上げました。
CTの基礎知識、頭頚部・脊椎・胸部・腹部に分けた正常像と異常像、CT読影方法、CTアトラスを含む約400ページの大作です。
CT保有の動物病院さんにとってはもちろん有用で、DICOMデータをダウンロードして読影練習ができるようになっています。
更には多数の疾患の掲載や正常犬のCTアトラスがあることからも、CTを外部に依頼している獣医師にとってももらったCT画像を自身でどう解釈したらいいのかを学べる素材となっています。
エディワーズプレス様から6/15より発売していますのでご購入をご検討ください。

https://media.eduone.jp/detail/11451/

犬猫の発作があった時に、どのように診察を進めてMRIのご紹介をしていくべきか簡単な動画にまとめましたのでご視聴ください。https://www.youtube.com/watch?v=wqK-xj-lbGQ&feature=youtu.be
02/03/2022

犬猫の発作があった時に、どのように診察を進めてMRIのご紹介をしていくべきか簡単な動画にまとめましたのでご視聴ください。
https://www.youtube.com/watch?v=wqK-xj-lbGQ&feature=youtu.be

犬猫に発作が起こった場合、どのように診断を進めるべきか獣医師向けに解説しています。症例の年齢・品種や症状を含めた問診・発作動画に基づいて、除外診断のために血液検査・心電図検査などを進める必要があります...

犬の胸腰部椎間板ヘルニアを新潟動物画像診断センターにMRI・CTでご紹介いただく前に注意していただく要点を動画にまとめましたのでご覧ください。https://www.youtube.com/watch?v=FxOP3p8C9Mc&t=1s
28/11/2021

犬の胸腰部椎間板ヘルニアを新潟動物画像診断センターにMRI・CTでご紹介いただく前に注意していただく要点を動画にまとめましたのでご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=FxOP3p8C9Mc&t=1s

犬の胸腰部椎間板ヘルニアを疑う症例がいたら、かかりつけ動物病院の獣医師が新潟動物画像診断センターへご紹介前にどのような検査を実施してほしいか、グレード分類を踏まえて解説しています。MRI・CTによる検査後は....

ねこねっこという出版社さんから、猫の「がん」 正しく知って、向き合う という飼い主さん向け書籍が発刊されました。小林哲也先生監修で内容はとても充実しているので、腫瘍疾患を抱えている猫の飼い主様にご紹介するのにとてもよいと思います。実は、その...
21/10/2021

ねこねっこという出版社さんから、猫の「がん」 正しく知って、向き合う という飼い主さん向け書籍が発刊されました。
小林哲也先生監修で内容はとても充実しているので、腫瘍疾患を抱えている猫の飼い主様にご紹介するのにとてもよいと思います。
実は、そのなかの放射線治療についての一部の記事ついて、私のほうもデータ提供で協力させていただいています。
当院の動物看護師さんにも勉強するには手ごろな内容かなと思っているので、スタッフに読んでもらったのちは、病院の待合室に置く予定です。

https://neco-necco.net/nekonogan/

猫の本専門出版「ねこねっこ」の第3弾書籍『猫の「がん」 〜正しく知って、向き合う』が2021年10月に発売となります。

新潟動物画像診断センターでは80列ヘリカルCTを利用して、一般状態が悪い動物に対し、無麻酔CTを実施しています。一番は、全身麻酔下で良質な画像を得ることですが、状況に応じては選択肢の一つとなります。下記の動画をご覧ください。https://...
05/10/2021

新潟動物画像診断センターでは80列ヘリカルCTを利用して、一般状態が悪い動物に対し、無麻酔CTを実施しています。
一番は、全身麻酔下で良質な画像を得ることですが、状況に応じては選択肢の一つとなります。
下記の動画をご覧ください。

https://www.youtube.com/watch?v=nahJq3h4LJk

犬猫のCT検査は全身麻酔が必須となります。しかし、高速で撮影できる80列CTと専用のCTポジショナーを用いることで、全身麻酔のリスクの高い動物でもCT検査を可能とします。腫瘍疾患・神経疾患・呼吸器疾患・消化器疾患.....

原因不明の疼痛症状を呈する犬柴犬 8歳齢 雄2か月前に異物の誤食により内視鏡にて異物除去を実施した。その際に咽頭部に腫瘤病変が発見されたため、腫瘤切除を実施したところ、形質細胞腫と診断された。その数日後から突然悲鳴をあげるようになり、歩行も...
30/07/2021

原因不明の疼痛症状を呈する犬
柴犬 8歳齢 雄

2か月前に異物の誤食により内視鏡にて異物除去を実施した。その際に咽頭部に腫瘤病変が発見されたため、腫瘤切除を実施したところ、形質細胞腫と診断された。
その数日後から突然悲鳴をあげるようになり、歩行もゆっくりとなった。かかりつけ動物病院で頸部痛を疑い、プレドニゾロンの投与が実施されたが症状の緩和はあるものの消失はしなかった。途中、X線検査においても評価がされたが明らかな病変の発見にはつながらなかった。ガバペンチンなども追加して内科治療にて経過観察をしていたが2か月経過しても改善がないため、新潟動物画像診断センターを精査のため紹介受診した。
神経学的検査において、歩行は可能なものの歩幅を短くして頸部を曲げるような状態が観察された。固有位置感覚・跳び直り反応にて両後肢の低下、膝蓋腱反射・前脛骨筋反射にて両後肢の亢進が確認された。皮筋反射はT11レベルより尾側は消失していた。脳神経機能検査において異常は認められなかった。以上より、T9レベル付近の脊髄障害または頸部痛より頚髄障害を疑い、CT・MRIを実施した。
CT検査においてC7椎体を破壊する軟部組織病変、T8椎体の溶解が認められ、それぞれCT/MRIにおいて脊髄圧迫も確認された。また、口腔内病変の残存/再発はなかったものの右内側咽頭後リンパ節は腫大しており、肝臓には結節病変が認められ、肝リンパ節の腫大も伴っていた。
C7病変はCTガイドにてFNA、肝臓結節はエコーガイドにてFNAをそれぞれ実施した。採取された細胞は多数の円形細胞であり、2か所ともほぼ類似した細胞形態であり、非上皮系腫瘍(形質細胞腫・組織球性肉腫・粘液肉腫など)が疑われた。
口腔内の咽頭部が既に形質細胞腫と診断されていた病歴より、形質細胞腫のリンパ節転移・骨転移・肝臓転移の可能性が疑われた。

まとめ
原因不明の疼痛は、C7・T8の脊椎病変に起因するものであった。神経学的検査において姿勢反応・脊髄反射・皮筋反射を考慮するとT9レベルに病変が存在することが想定された。当院で撮影されたX線画像においてT9椎体に異常はなかったものの、肺に重複して見にくいがT8椎体の溶解が観察された。また頸部痛より頸部のX線画像評価を行うと、C7椎体の吻側辺縁が平滑ではなくやや隆起した異常な構造を呈していることもわかる。
疼痛症状に伴う病変部位の特定は困難なこともあるが、臨床症状の十分な評価、神経学的検査、X線検査においてある程度、責任病変を絞ることはでき、それによりCT・MRIによる精査の必要が特定できることもあるので入念な評価が必要である。

急性の旋回を示した犬の一例トイプードル 13歳齢 避妊雌3日前から突然のふらつき(右に倒れる傾向)・左旋回・食欲不振が認められ、症状が持続するため、精査として新潟動物画像診断センターを紹介受診した。神経学的検査にて、右前後肢は固有位置感覚・...
27/07/2021

急性の旋回を示した犬の一例

トイプードル 13歳齢 避妊雌

3日前から突然のふらつき(右に倒れる傾向)・左旋回・食欲不振が認められ、症状が持続するため、精査として新潟動物画像診断センターを紹介受診した。
神経学的検査にて、右前後肢は固有位置感覚・飛び直り反応にて低下が認められた。また威嚇瞬き反応は両目とも消失しており、綿球落下試験でも反応は失われていた。院内でも左旋回が持続して認められていたことから、左大脳半球病変を疑った。
頭部のMRIを実施したところ、左視床には6.9㎜の結節病変(T2WI等信号・T1WIやや高信号・造影増強あり)が認められ、周囲の左視床領域は瀰漫性にT2WI高信号・FLAIR高信号・T1WI低信号・造影増強はない領域が広範囲に観察された。同部位はmass effectを伴って左側脳室を圧迫していた。さらに隣接する左側頭葉の一部は瀰漫性にT2WI/FLAIR高信号になっていた。

脳脊髄液検査において、蛋白濃度は56mg/dlと上昇しており、細胞数は60/μlとリンパ球を中心に増数して、炎症反応が強く観察された。細菌感染やジステンパーは髄液検査より否定された。以上の諸検査より、出血性梗塞を第一に疑い、脳浮腫軽減のために脳圧降下剤と低用量のステロイド、血栓予防としてクロピドグレルの使用で経過を見ることとなった。
検査から数日後には、旋回などの臨床症状はほぼ消失し、血栓傾向を助長する可能性があるステロイドの投与は中止された。その後も経過良好であったが、腫瘍病変の否定のためにも前回から1か月後に再度のMRI評価が行われた。
左視床に認められた造影増強病変(出血部位)は消失し、T2WI高信号を呈していた梗塞病変は顕著な縮小が認められ、mass effectも消失し、周囲の脳浮腫も消失していた。これらの顕著なMRI所見の改善より、出血性梗塞の改善を確認し、腫瘍は否定的となった。

<まとめ>
脳梗塞病変は、発症から24時間以内(急性期)においてT2WI高信号・FLAIR高信号・T1WI低信号・造影増強なしの状態が一般的である。発症から24時間を経過し数日が経過すると造影増強を伴う場合もある。特に梗塞で脆くなった部位で再灌流により出血を伴う領域を含む場合(出血性梗塞)には、T2WI低信号・T1WI高信号・造影増強を呈する場合もある。脳梗塞発症から数日後には血管透過性亢進による血管性浮腫が顕著となり、mass effectや不整な造影増強を伴う。この画像が脳腫瘍(グリオーマなど)に類似しているため、急性発症か慢性経過か、MRIによる画像所見(経時的な評価も含む)、治療反応などで区別しなければいけない。発症初期では、DWI(拡散強調画像)にて高信号病変として確認されやすいが、人のように超急性期(発症4時間以内)にMRIが実施できないことから、そこまで有用性は高くなく、その他のMRI所見で予測することが重要である。

25/07/2021

Comparison of nonenhanced computed tomography and ultrasonography for detection of ureteral calculi in cats: A prospective study
Isabelle Testault
J Vet Intern Med. 2021 Jul 13. doi: 10.1111/jvim.16210.

概要
背景:X線検査と超音波検査は、猫の尿管結石を評価するために使用される主要な画像診断法です。非造影CTの使用を説明する報告はほとんどありません。
仮説/目的:猫の尿管結石の検出、数、および局在化について、超音波検査と非造影CTを比較すること。
動物:少なくとも1つの尿管結石を伴う51匹の猫、101の尿管。
方法:前向き症例研究。すべての猫は超音波検査が行われ、その後、非造影CTが行われました。少なくとも1つの尿管結石がいずれかのモダリティで診断された場合、猫が研究に含まれました。結石の数とその局在(近位、中央、遠位)が両方のモダリティで記録されました。腎盂の拡張と最大尿管径は超音波検査で記録されました。
結果:位置に関係なく、超音波検査(90)と比較して非造影CT(126)でより多くの結石が検出されました(P

胸腔内リンパ腫の猫雑種猫 3歳齢 雄10日前からドライフードを食べると嘔吐が出るようになった。7日前にはかかりつけ動物病院を受診し、制吐剤などの処置をうけるも改善しなかった。紹介動物病院では、FIV抗体陽性が確認され、消化管造影剤検査を実施...
05/06/2021

胸腔内リンパ腫の猫

雑種猫 3歳齢 雄

10日前からドライフードを食べると嘔吐が出るようになった。7日前にはかかりつけ動物病院を受診し、制吐剤などの処置をうけるも改善しなかった。紹介動物病院では、FIV抗体陽性が確認され、消化管造影剤検査を実施したところ停滞はなく胃への流入が確認されていた。その後、流動食に切り替えると嘔吐は止まっていたものの原因精査として新潟動物画像診断センターを紹介来院した。
胸部X線検査において、心基部に腫瘤病変が確認された。精査としてCT検査を実施したところ、心基部において28㎜の軟部組織腫瘤が形成され、食道を強く圧迫していた。
胸腔内腫瘤をCTガイドにてFNAを実施したところ、細胞診にて低分化リンパ腫が疑われた。同時に小腸腫瘤も発見されたが、FNAで診断困難であった。
同時に実施された内視鏡において、食道は圧迫されたことにより押しつぶされている領域があったものの、スコープは通過可能であったため、当面の対症療法としてPEGチューブを設置した。
 少なくとも胸腔内腫瘤はリンパ腫が疑われたため、PEGチューブにて支持療法を継続し、外注結果にてリンパ腫と確認された後は、紹介動物病院にてL-アスパラギナーゼの投与を実施したところ、投与翌日にはドライフードを食べることができ、嘔吐も確認されず明らかな臨床症状の改善が確認された。その後も、UW-25のプロトコルの治療を1か月続けたのちに、治療効果判定とした、再度CT検査を実施した。
 CT検査にて食道を圧迫していた心基部腫瘍は消失しており、同時に観察されていた小腸腫瘤も消失しており、同部位もリンパ腫病変であったと考えられた。その後も、紹介動物病院にて化学療法の継続をすることとなった。
本症例は、胸腔内リンパ腫といっても縦隔型ではなく、心基部付近を原発としたリンパ腫であったが、心臓・心膜・胸部大動脈付近などの発生はわずかに猫で報告されているのみで食道を圧迫する心基部リンパ腫の報告は見当たらず珍しい症例であったが、PEGチューブにて状態維持をしたのちに、速やかに化学療法へと移行できたことが完全寛解へつながったと考えられた。

緑書房より「はじめてのウサギの画像診断」が発売されました。中田先生の執筆ですが、画像に関しての監修を坂大が務めさせていただきました。本邦初のウサギに特化した画像診断の本は、読みごたえがありますのでウサギ診療している獣医師の方は是非ご購入くだ...
01/06/2021

緑書房より「はじめてのウサギの画像診断」が発売されました。
中田先生の執筆ですが、画像に関しての監修を坂大が務めさせていただきました。
本邦初のウサギに特化した画像診断の本は、読みごたえがありますのでウサギ診療している獣医師の方は是非ご購入ください。
なお、新潟動物画像診断センターはウサギの画像診断はしておりませんので、ご了承を。
https://www.midorishobo.co.jp/SHOP/4171.html

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頸動脈小体腫瘍に起因した発作の犬ウエルシュコーギー 9歳齢 去勢雄夜、散歩したのちに、夕食を食べた直後に寝ていたところ、突然横臥で四肢を突っ張るような状態が2-3分持続した。その後も立ち上がろうとしても立ち上がれず、2-3分もがく様子が認め...
19/04/2021

頸動脈小体腫瘍に起因した発作の犬

ウエルシュコーギー 9歳齢 去勢雄
夜、散歩したのちに、夕食を食べた直後に寝ていたところ、突然横臥で四肢を突っ張るような状態が2-3分持続した。その後も立ち上がろうとしても立ち上がれず、2-3分もがく様子が認められた。この間、意識は清明で、直後にかかりつけ動物病院を受診したが、血液検査にて明らかな異常は確認されなかった。
原因精査のために新潟動物画像診断センターを紹介受診した。
神経学的検査において、明らかな異常はされなかったが、脳疾患を考慮して頭部MR検査が実施された。
脳に明らかな異常はMRIにおいて確認されなかったが、左下顎部に腫瘤病変が確認された。
左頸動脈背側には下顎腺や気管に挟まれるように腫瘤(15㎜大)が形成されていた。腫瘤は、中心部がT2WI高信号・T1WI低信号、辺縁がT2WI等信号・T1WI等信号で造影増強されていた
その後に実施されたCT検査においても左下顎腺の内側には、内部に血流が認められる腫瘤(14.1㎜×10.3㎜)が形成されていた。
左下顎腫瘤は、エコーガイド下にてFNAが実施され、多数の上皮様細胞が孤立性/集塊状に採取され、細胞は類円形核を有して、核の大小不同を伴っていた。細胞質は類円形もしくは多形成を呈して淡好塩基性であった。これらの所見から、神経内分泌細胞由来悪性腫瘍、特に頸動脈小体腫瘍が疑われた。
除外のために同時に実施された脳脊髄液検査において明らかな異常は確認されなかった。
特発性てんかんの可能性も否定はできなかったが、左下顎部の頸動脈小体腫瘍に起因した発作症状が稟告から疑われた。
頸動脈小体腫瘍の外科的切除と、それに伴う症状の消失の有無確認を提案したが、飼い主は手術を希望せずそのまま経過観察となった。
<まとめ>
頸動脈小体腫瘍の画像所見は、CTおよびMRIについて報告されている。16頭の頸動脈小体腫瘍の報告(Wilfried Mai,VRU,2015年)においてはボストンテリアの発生が一番多いと述べられている。発生位置は、頸動脈分岐部に腫瘤が形成され、周囲筋肉に対してCTでは等から低吸収、MRIではT2WI高信号・T1WI高信号で観察され、CT・MRIともに強く不均一な造影増強が画像の特徴となっている。腫瘍は周囲に浸潤することもあり、外頸動脈を巻き込むことが多く、外頚静脈・上顎静脈・舌顔面静脈などに浸潤することもある。
頸動脈小体腫瘍の発見のきっかけは、ほとんどが頸部腫瘤(頸部腫脹)である。人においては嚥下に伴う失神も臨床症状の一つとして認識されており、犬では一報だけ報告が存在する(A Phan, Australian Veterinary Journal,2013年)。イングリッシュブルドッグ2頭は、食べたり飲んだりした後の嚥下、リードを引っ張ることにより失神が引き起こされとされている。本症例においても、散歩(リード牽引による頸部刺激)・食事(嚥下)の直後に発作様症状が起こったことから、頸動脈小体腫瘍起因の発作(失神)を疑ったのである。
発作といっても、脳疾患だけではなく、循環器(失神)・代謝性異常なども考慮する必要があるが、頸動脈小体腫瘍も鑑別に挙げることが必要であり、稟告の確認や下顎部の画像診断の必要性を忘れてはいけない。

16/04/2021

whirl signを認めた消化管腫瘍の犬

ミニチュアシュナウザー 8歳齢 雄
腹腔内腫瘤が発見され、精査としてCT検査が実施され、新潟動物画像診断センターに読影依頼された。
中腹部には132㎜大の軟部組織腫瘤が形成され、内部に細い血管走行があり、辺縁が軽度造影増強されていた。腫瘤内部が低吸収の2層構造を呈していた。腫瘤は、小腸の一部に隣接していたが、管腔が閉塞している所見は存在しなかった。
中腹部において、腸間膜動脈を中心に渦巻き所見(whirl sign)が認められた。動脈の途絶(狭窄)が同部位に認められた。隣接する小腸は管腔が消失し狭窄している部分が存在した。
CT検査後に開腹手術が実施されたが、切除された腫瘤は小腸由来のGISTであった。
また腸間膜・小腸の捻転は、肉眼でもうっ血とともに確認されたため、捻じれの解除が同時に行われた。
本症例は、巨大な小腸腫瘍の重みに起因した腸間膜・小腸の捻転が2次的に発生したと考えられた。

<まとめ>
whirl signは動脈を中心に軸捻転が起きることで腸間膜などが巻き込まれ、渦巻状に見える所見であり、人医療においても確認されるCT所見である。
渦巻き所見は、腸間膜に加え問題臓器周囲の靭帯などの構造を巻き込むように観察され、獣医療においても様々な症例報告が下記のように報告されている。
・回盲部結腸軸捻転(Can Vet J、2014年)
・腸間膜軸捻転(VRU、2014年)
・膀胱捻転(JSAP、2018年)
・結腸捻転(VRU、2020年)
・脾捻転(VRU、2020年)
・肝葉捻転(Res Vet Sci、2021年)
血行障害や巻き込まれた臓器の機能障害を引き起こす可能性があり、外科的対応が迫られることから、whirl signは見落としてはいけないCTの重要所見である。

診断に苦慮した鼻腔内病変の猫雑種猫 18歳齢 去勢雄3か月前にくしゃみをした際に、右鼻から鼻出血を認め、かかりつけ動物病院で内服薬を処方されたところ鼻出血は消失し、投薬を中止していた。1か月前には鼻汁が出るようになり、再度内服が処方されたと...
31/12/2020

診断に苦慮した鼻腔内病変の猫

雑種猫 18歳齢 去勢雄
3か月前にくしゃみをした際に、右鼻から鼻出血を認め、かかりつけ動物病院で内服薬を処方されたところ鼻出血は消失し、投薬を中止していた。1か月前には鼻汁が出るようになり、再度内服が処方されたところ改善したため、投薬は終了された。10日くらい前から鼻音が目立つ、再度の鼻出血(右鼻)、くしゃみなどが確認され、X線検査を実施したところ右鼻腔内に病変を疑う所見があったため、精査を希望して新潟動物画像診断センターを紹介受診した。
 X線検査にて右鼻腔内に不透過性亢進が軽度に認められたが、明らかな構造破壊は確認されなかった。CT検査にて右鼻腔内腹側にわずかな石灰化を伴う占拠性病変が確認された。その他、CT画像において全身に異常は確認されなかった。そこで、右鼻腔内から鋭匙を挿入し掻き取るようにバイオプシーを実施した。病理検査の結果、慢性増殖性鼻炎(重度)と診断され、腫瘍性疾患が否定された。
しかし、同時に採取された鼻汁から細菌・真菌も検出されず、腫瘍性疾患が臨床的には考慮されたため、後日、再度のバイオプシー検査を今度は内視鏡鉗子を用い、できるだけ深部から採材を実施した。その結果、病理検査にて前回同様に慢性炎症が確認されるとともに、扁平上皮化生を示す粘膜上皮の増殖病変が確認され、扁平上皮癌の可能性が考慮された。
診断までに2週間を要したが、扁平上皮癌に対し飼い主が放射線治療を希望したため開始となった。放射線治療は、仰臥位・開口位にし、硬口蓋を中心にツーブスを設置して照射した。放射線照射は、1回6Gy、週2回、合計7回(総線量42Gy)が実施された。
照射後は、食欲が徐々に回復し、くしゃみはたまに出るものの鼻出血は出なくなった。放射線障害に伴いやや眼脂増加が認められたが、治療終了後には改善した。
放射線治療終了時のCTでは、わずかな病変の残存が確認されるのみとなり明らかな縮小が認められた。放射線治療終了から1か月後のCT検査においては、さらに縮小していることが確認され、明らかな転移所見もなく、治療終了から2か月以上が経過しているが一般状態は良好である。

<まとめ>
 鼻腔内病変に対し、バイオプシー検査を実施したが、1度目では腫瘍性疾患が否定されてしまった。画像所見や病理医ともディスカッションを行い、採材した組織が病態を反映されていない可能性も考慮して、再度のバイオプシーを実施することとなった。鋭匙では深部組織まで到達していない可能性を考慮し、2回目は内視鏡鉗子にてできるだけ奥から採材したところ扁平上皮癌と診断された。放射線治療により縮小が得られていることからも診断が間違っていなかったことの確証が得られた。当院では、必ずバイオプシー検査を実施した場合には、病理医から診断書をもらうだけでなく、画像診断所見も加味して病理医とその診断が適正かディスカッションを行うようにしており、それに応じて診断書を書き換えてもらうことなどもある。今回も再度のバイオプシー検査の必要と、2回目の組織でその他の変化がないか入念に探索してもらった結果であると考えている。

30/12/2020

Incidence and type of brain herniation associated with intracranial meningioma in dogs and cats Simone
Minato
J Vet Med Sci. 2020

犬と猫の頭蓋内髄膜腫(ICM)に関連する脳ヘルニアの発生率はほとんど説明されていない。この研究の目的は、頭蓋内髄膜腫の犬と猫の脳ヘルニアの発生率と種類を評価し、頭蓋腔容積(CCV)に対する髄膜腫容積(MV)を決定することであった。 脳ヘルニアの存在と特徴を確認するために、頭蓋内髄膜腫を有した24匹の猫と45匹の犬の回顧的MRI分析研究が実施された。 MVとCCVを測定し、各動物の比率を計算した。 MV / CCVと独立変数との相関を分析した。 脳ヘルニアは、頭蓋内髄膜腫のある24/24匹の猫(100%)と30/45匹の犬(66.7%)で発生していた。猫では、最も頻繁な症状は大後頭孔ヘルニア(FMH; 23 / 24、95.8%)であり、続いて尾側テント(CTH; 21 / 24、87.5%)および大脳鎌下(SH; 18 / 24、75.0%)ヘルニアであった。犬では、最も頻繁な症状は大脳鎌下ヘルニア(28/45; 62.2%)であり、尾側テントヘルニア(9/45; 20%)および大後頭孔ヘルニア(2/45; 4.4%)がそれに続いた。犬と比較して、頭蓋内髄膜腫の猫は大後頭孔ヘルニア(P

28/12/2020

緑書房から出版されているCAP2021年1月号にて連載中のX線読影 プロフェッショナルの思考回路を執筆させていただいています。
今回は腹部レントゲンの漿膜面ディテイルの低下についてです。
腹部の読影では重要な所見なので是非読んでいただければと思います。
https://www.midorishobo.co.jp/SHOP/6352101.html

Splenic extramedullary hematopoiesis in dogs is frequently detected on multiphase multidetector-row CT as hypervascular ...
16/11/2020

Splenic extramedullary hematopoiesis in dogs is frequently detected on multiphase multidetector-row CT as hypervascular nodules
Alessia Cordella
Vet Radiol Ultrasound. 2020 Sep;61(5):512-518.

髄外造血(EMH)は、骨髄外の血球の形成と発達であり、犬では脾臓で頻繁に発生する。脾臓髄外造血は比較的一般的な状態ですが、獣医学におけるその出現に関するデータは不足している。私たちの目的は、犬の脾臓髄外造血のさまざまな多検出器CT(MDCT)所見の違いを説明することであった。この記述的後ろ向き研究には、脾臓髄外造血の細胞学的診断と腹部の三相撮影CT検査を行った犬が含まれていた。記録されたMDCT所見は、脾腫、実質の所見、脾臓と病変の平均CT値でした。含まれる89頭の犬のうち、55頭(62%)が多発性結節性、14頭(16%)は腫瘤、12頭(13%)はびまん性不均一実質、8頭(9%)は正常な脾臓を示した。ほとんどの病変は、動脈相(57 / 89、64%)および門脈相(59 / 89、66%)で実質に対して過減衰していた。一方、間質相では、89のうち40(45%)のみが過減衰でした。病変の平均減衰(CT値)は隣接する脾臓の値と比較し高く、高減衰病変と実質の間の平均減衰の差は、間質相よりも動脈相と門脈相で有意に高かった(P

11月発売のCAPにて連載中の「プロフェッショナルの思考回路」を執筆させていただきました。今回は、猫の肺水腫の読影についてです。レントゲンで必ずしも確定することが難しい疾患ですが、どこからヒントをつかむのかを解説しています。http://w...
05/11/2020

11月発売のCAPにて連載中の「プロフェッショナルの思考回路」を執筆させていただきました。
今回は、猫の肺水腫の読影についてです。
レントゲンで必ずしも確定することが難しい疾患ですが、どこからヒントをつかむのかを解説しています。

http://www.pet-honpo.com/magazine/cap/cap-170/

腹部超音波検査において、胆嚢は最も描出しやすい臓器の1つであり、一次診療施設においても胆嚢疾患を発見する機会は多くなってきています。しかしその画像の解釈は簡単ではなく、また異常がみつかったとしても、そ...

原因不明の神経症状の犬ポメラニアンが震え、硬直などの症状を呈し、消炎鎮痛剤や抗てんかん薬に治療反応しないとのことで新潟動物画像診断センターを紹介受診したその診断とは??下記の動画をご覧くださいhttps://youtu.be/Of1cugs...
15/10/2020

原因不明の神経症状の犬
ポメラニアンが震え、硬直などの症状を呈し、消炎鎮痛剤や抗てんかん薬に治療反応しないとのことで新潟動物画像診断センターを紹介受診したその診断とは??
下記の動画をご覧ください

https://youtu.be/Of1cugsoV64

痙攣・震え・硬直などを主訴にポメラニアンが紹介来院した。NSAIDs、抗てんかん薬などの治療にも反応せず、原因不明と相談された。 精査としてMRIが実施されたが、動画撮影による臨床症状から頚髄疾患を強く疑い、検査.....

25/09/2020

9月に発売されたSUGEONにて副腎の画像診断を執筆させてもらいました。

特集の内容と執筆の先生も有名な先生方か手掛けているのでとても読みごたえがあります。

病態 松木先生(まつき動物病院)
血液検査 西飯先生(岐阜大学)
X線・エコー 中村先生(北海道大学)
CT・MRI 坂大(新潟動物画像診断センター)
内科治療 西飯先生(岐阜大学)
麻酔 手島先生(日本大学)
外科治療 南雲先生・浅野先生(日本大学)

読者として完成した副腎特集は面白く一気に読みこんでしまいました。
私の執筆パートはCTを主体に、できるだけ典型的な画像所見をたくさん掲載させてもらい、また現時点で出ている論文から言える最新知見をできるだけ取り上げました。
是非ご覧になってください。

https://eduward.online/products/detail/1957

SURGEON,サージャン,さーじゃん,副腎疾患

緑書房 CAP9月号にて、X線読影プロフェッショナルの思考回路 第6回を執筆しています。http://www.pet-honpo.com/magazine/cap/cap-168/今回の内容は消化管腫瘤です。レントゲン画像でどこを注目したら...
14/09/2020

緑書房 CAP9月号にて、X線読影プロフェッショナルの思考回路 第6回を執筆しています。

http://www.pet-honpo.com/magazine/cap/cap-168/

今回の内容は消化管腫瘤です。レントゲン画像でどこを注目したらよいのか解説していますので、是非ご覧ください。

軟部組織肉腫は、中~高齢の中型あるいは大型犬でよくみられる腫瘍です。局所浸潤性が強いことが特徴的ですが低グレードのものが多く、遠隔転移がなければ外科手術により根治も望めます。また外科手術を行う際は、術...

FIPドライタイプの猫メインクーン 9か月齢 避妊雌4か月齢で後肢を中心としたふらつき、元気食欲低下が認められた。動物病院にて血液検査・X線検査を実施するも明らかな異常は確認されず、対症療法としてステロイド投与を実施したところ、走ることがで...
11/09/2020

FIPドライタイプの猫

メインクーン 9か月齢 避妊雌
4か月齢で後肢を中心としたふらつき、元気食欲低下が認められた。動物病院にて血液検査・X線検査を実施するも明らかな異常は確認されず、対症療法としてステロイド投与を実施したところ、走ることができるまで回復し、食欲も徐々に回復した。
その後の内科治療は中断していたが、8か月齢で再度ふらつきや食欲の低下が認められた。動物病院を受診した時点では、意識レベルの低下、左右瞳孔の不同、対光反射の消失などが確認された。抗生剤治療を実施しても反応が得られず、ステロイドおよび脳圧降下剤の投与を実施したところ徐々に治療反応があり、歩けるようになり、瞳孔不同も消失した。
その後は、ステロイド・抗生剤の内服を1か月程度継続し、食欲は7割程度まで回復し、歩行はほぼ正常な状態を維持するところとなったが、精査を希望して新潟動物画像診断センターを紹介受診した。

神経学的検査において、固有位置感覚は正常であったものの、跳び直り反応にて両後肢の低下が確認された。脳神経機能検査には異常がなく、瞳孔不同も確認されなかった。
血液検査において、GLOB5.4g/dlとやや高めであった。FeLV抗原陰性・FIV抗体陰性・FCoV抗体51200倍と高値であった。
MRI検査において、両側の側脳室と第4脳室の拡大が認められた。特に側脳室の内壁(脳室上衣)は造影増強が明瞭に認められた。脳室内の脳脊髄液はFLAIRにて軽度高信号と十分な水抑制が得られていなかった。右前頭葉・右側頭葉・右頭頂葉・右後頭葉の白質を中心にT2WI高信号の瀰漫性病変が存在していた。小脳の尾側は後頭骨から尾側に伸展し、大後頭孔ヘルニアを伴っていた。脳幹部腹側にはわずかな瀰漫性病変(T2WI高信号)が認められた。
頸部において、C2-4レベルの脊髄に軽度の中心管拡張が確認されT2WI高信号)が認めあ。腰髄において中心管拡張が認められた。
脳脊髄液採取を試みたが、ドライタップのため、採取は断念し、評価できなかった。
脳脊髄液評価は困難であったが、MRIの典型的な所見より、FIP(猫伝染性腹膜炎)のドライタイプと診断した。FIPにより2次性の水頭症・脊髄空洞症が合併していると考えられた。

<まとめ>
FIPのMRIの所見としては、A.H.Crawfordらの報告(JVIM,2017年)が24頭の神経型FIPでまとめられている。病変の分布は、第3分節(T3-L3)の脊髄障害(3頭)・中枢前庭症候群(7頭)・多病巣病変(14頭)であった。MRIにおいてすべての症例で異常所見が確認され、髄膜の造影増強(22頭)・脳室上衣の造影増強(20頭)・脳室拡大(20頭)・脊髄空洞症(17頭)・大後頭孔ヘルニア(14頭)が存在していた。
今回の症例は上記の報告のMRI所見のほとんどを満たしている。最初は両後肢のふらつきであったことから、第3分節に病変が発症し、その後、中枢性病変へと進行していったと考えられ、小脳の大後頭孔ヘルニアに伴う脳脊髄液の流路障害から脊髄空洞症の合併や脳室拡大の助長につながったと思われる。
FIPの治療は残念ながら明確なエビデンスを伴う治療はなく対症療法が中心である。近年では、抗ウイルス薬であるGS-441524(レムデシビル類似薬)による治療報告が出てはいるものの海外薬であり、入手困難かつ価格の点から国内で投薬治療をすることは現実的でない。しかし、Peter J.Dickinsonらの報告(JVIM,2020年)において、FIPドライタイプ(中枢神経型)の4例の猫に対してGS-441524の効果が述べられている。それによると5-10mg/kgの投与を少なくとも12週間投与され、すべての症例は治療反応が得られて、3頭は報告の時点で生存中(528日・516日・354日)であり、神経学的検査において正常化が得られている。また1頭は症状の再発があり、216日にて安楽死されている。GS-441524の投与量は、ウエットタイプのFIPに比べて多い薬用量が必要な可能性があるものの、中枢神経型のFIPに対し有用性が高いとされているので、今後の続報が待たれるところである。

胃内異物フレンチブルドッグ 10ヶ月齢 雄アイス容器(パピコ)を2日前に食べて嘔吐が続いているとのことで、新潟動物画像診断センターに来院した。内視鏡にて摘出したが、胃粘膜は異物により出血していた。https://youtu.be/5iSzO...
07/09/2020

胃内異物
フレンチブルドッグ 10ヶ月齢 雄
アイス容器(パピコ)を2日前に食べて嘔吐が続いているとのことで、新潟動物画像診断センターに来院した。
内視鏡にて摘出したが、胃粘膜は異物により出血していた。

https://youtu.be/5iSzODc6w0Q

アイス容器(パピコ)を誤食したフレンチブルドッグが内視鏡検査にて摘出された。異物により胃粘膜は出血炎症を伴っていた。

鼻腔内移行上皮癌に対する放射線治療チワワ 11歳齢 避妊雌2日前に突然の両後肢不全麻痺で、起立困難となり、1日前にかかりつけ動物病院を受診し、椎間板ヘルニアが疑われたため、新潟動物画像診断センターを紹介受診した。両後肢の完全麻痺であり、深部...
04/08/2020

鼻腔内移行上皮癌に対する放射線治療

チワワ 11歳齢 避妊雌
2日前に突然の両後肢不全麻痺で、起立困難となり、1日前にかかりつけ動物病院を受診し、椎間板ヘルニアが疑われたため、新潟動物画像診断センターを紹介受診した。
両後肢の完全麻痺であり、深部痛覚も消失しており、MRIにてL2-3の椎間板ヘルニアと診断された。

同時に撮影されたCT検査にて偶発的に無症状であったものの、右鼻腔内に占拠性病変が認められ、バイオプシー検査を実施したところ移行上皮癌と診断された。

椎間板ヘルニアはグレード5であったため、検査後に速やかにかかりつけ動物病院にて手術が実施され、徐々に神経学的な回復が確認された。

鼻腔内腫瘍に対しては放射線治療を飼い主が希望したため、術後より、1回4Gy・週3回・合計12回(総線量48Gy)の放射線治療を実施した。
放射線治療1か月後においては、鼻腔内腫瘍の縮小がわずかであったため、トセラニブを処方し経過を見たところ、3か月後より徐々に鼻腔内病変は縮小し、わずかな病変の残存が認められるのみとなり維持病変(SD)として放射線治療から1年経過しているが、腫瘍コントロールができている。症状はたまにくしゃみをするくらいであり、臨床症状は良好で、両後肢もほぼ正常な歩行に戻っている。

<まとめ>
犬の鼻腔内腫瘍に対する放射線治療は約1年の生存期間が期待されるが、本症例においては椎間板ヘルニアの検査時に無症状で偶発的に見つかったことによる早期治療が実施でき、また多分割照射を実施したことに加え、分子標的薬治療の相乗効果により、長期コントロールに移行できたと考えられる。腫瘍における早期発見がいかに重要であるか実感できた症例である。

伴侶動物画像診断の8月号(No.24)にて脊椎・脊髄の画像診断の監修、頭蓋骨・脳の画像診断の監修およびX線検査・CT検査の執筆をしております。是非ご覧くださいhttp://www.pet-honpo.com/magazine/gazou/p...
03/08/2020

伴侶動物画像診断の8月号(No.24)にて脊椎・脊髄の画像診断の監修、頭蓋骨・脳の画像診断の監修およびX線検査・CT検査の執筆をしております。
是非ご覧ください
http://www.pet-honpo.com/magazine/gazou/post-777/

糖尿病猫の下垂体腫瘍雑種猫 13歳齢 去勢雄2年前から糖尿病となりインスリン治療中であったが、1か月目から四肢に力が入らず震え、動きが悪くなり、壁沿いに歩くなどの異常が確認された。かかりつけ動物病院にて精査をしたところ、腹部超音波検査で腹腔...
02/08/2020

糖尿病猫の下垂体腫瘍

雑種猫 13歳齢 去勢雄
2年前から糖尿病となりインスリン治療中であったが、1か月目から四肢に力が入らず震え、動きが悪くなり、壁沿いに歩くなどの異常が確認された。かかりつけ動物病院にて精査をしたところ、腹部超音波検査で腹腔内腫瘤が確認され、同部位をFNAしたところ、悪性上皮系腫瘍が疑われた。腹腔内腫瘤の由来特定が困難であったため、新潟動物画像診断センターを紹介受診した。
腹部超音波検査においては左中腹部に低エコーの腫瘤病変が確認された。
CT検査を実施したところ、膵左葉先端には20㎜の嚢胞状病変が確認され、腹腔内に少量の液体漏出が確認された。
問診にて、神経症状を疑うことが確認されたことと、当初グラルギン4単位 BIDにてコントロール可能であった糖尿病が、最近では要求量が増え、11単位まで増加していたことも考慮し、下垂体腫瘍が懸念されたため、MRIの追加検査も提示したところ、飼い主が希望したため実施した。
神経学的検査においては、姿勢反応に明らかな異常は確認されなかったが、威嚇瞬き反応が両眼とも低下しており、対光反射も低下していた。綿球落下により反応が得られたため、資格の残存は確認された。瞳孔は散大傾向であり、これらより視覚経路の異常が確認されたことから、下垂体腫瘍の疑いがさらに強まった
MRIにおいては10.3㎜高と顕著に腫大した下垂体が確認され、視床や中脳を圧迫していた。このことから一連の体調不良は腹腔内腫瘤病変より、下垂体病変に起因する神経症状によるものと特定された。
血液検査にてIGF-1が測定され、574.0ng/mlであった。
糖尿病コントロールができていないことは、下垂体腫瘍が原因と判断され、放射線治療を提示したものの、飼い主が希望しなかったため、そのまま内科治療を継続することとなった。
<まとめ>
先端肥大症は猫に認められやすい疾患である。下垂体腫瘍から過剰に放出されたGH(成長ホルモン)によりインスリン抵抗性が上がり、GHは肝臓でのIGF-1の産生を亢進させ、強力な同化作用を示す。IGF-1の同化作用により、骨・軟骨・結合組織・内臓は肥大し、先端肥大症と名付けられるのはこのためである。
糖尿病治療にてインスリン抵抗性を認める猫においてはGH過剰を引き起こす先端肥大症(下垂体腫瘍)の存在の可能性も考慮し、頭部MRIを実施すべきである。
治療は、放射線治療が推奨されており、図に示す通り、実施することで神経症状の改善やインスリン要求量の減少などの効果が得られ、中央生存は1-2年間が期待される。

バッドキアリ様症候群の犬ミニチュアダックスフンド 12歳齢 避妊雌1か月前より腹囲膨満が認められ、その後に呼吸促拍症状も認められた。10日前に、かかりつけ動物病院を受診し腹水の貯留が確認された。腹水は変性漏出液であり、細胞診で明らかな異常は...
30/07/2020

バッドキアリ様症候群の犬

ミニチュアダックスフンド 12歳齢 避妊雌
1か月前より腹囲膨満が認められ、その後に呼吸促拍症状も認められた。
10日前に、かかりつけ動物病院を受診し腹水の貯留が確認された。腹水は変性漏出液であり、細胞診で明らかな異常は確認されなかった。また胸部X線検査にて右肺後葉に腫瘤病変が確認された。ステロイド・抗生剤の投与を行ったが、腹水や呼吸状態に変化がなく、原因不明の腹水の精査として新潟動物画像診断センターを紹介受診した。
血液検査においては明らかな異常はなく、ALB・TPも正常であり、肝酵素の上昇が確認されるのみであった。X線検査にて、右肺後葉の腫瘤が確認され、腹部においては全域で漿膜面ディテイルの低下を伴い、肝腫大も確認された。超音波検査にて肝腫大と肝静脈の拡大が確認され、採取された腹水では同様に変性漏出液と判断された。
精査としてCT検査を実施したが、巨大な腫瘤が右肺後葉部分に形成され、肺門部周囲には局所的な歯法パターンが存在しているものの、その他の結節は確認されなかった。
胸腔内腫瘤は後大静脈を強く圧迫し、広範囲に血管を押しつぶしていた。
肝臓は瀰漫性に腫大しており、肝静脈の拡張が認められた。
肝臓の造影は、門脈相において後大静脈・門脈の造影に乏しく、肝実質の造影増強も不均一で、造影剤潅流の遅延が疑われた。平衡相においては遅れた肝静脈・門脈の造影増強が確認され、部分的に造影欠損領域はあるものの肝実質が均一な造影増強として確認された。
右肺後葉をエコーガイドにてFNAを実施したところ上皮系細胞が集塊を成して採取され、腺癌などの腫瘍が疑われた。これらより、肺腺癌などの胸腔内腫瘍が強く後大静脈を圧迫することにより肝腫大・腹水が生じており、腫瘍に続発したバッドキアリ様症候群と診断された。

<バッドキアリ様症候群 Budd-Chiari-like syndrome>
人におけるバッドキアリ症候群と類似されることから、前述の呼称となっている。動物においては、心臓に還流する肝静脈の閉塞による高血圧・高蛋白性腹膜滲出の発生と説明されている。閉塞部分は、肝静脈・後大静脈の接合部、肝静脈流入部・心臓の間の後大静脈、右心房の部位が関与している。原因は、血栓・フィラリア症・腫瘍などの腫瘤病変・外傷に伴う狭窄・線維化・横隔膜ヘルニア・先天性心疾患・先天性後大静脈奇形が列挙される。
腹水検査では特異的な所見はないものの、X線検査・超音波検査などで異常所見が確認されることも多く、詳細な評価としては今回の症例のようにCT検査が有用となる。
治療は原因の除去であり、本症例の場合には胸腔内腫瘍の切除が推奨される。血管奇形などにステント治療を実施した報告もあり、病因を精査することが治療につながる。

犬の椎間板ヘルニア グレード2ミニチュアダックスフンドの急性の両後肢不全麻痺MRIにて椎間板ヘルニアのグレード2と診断内科治療に反応しなかったため、片側椎弓切除術を実施した。歩行は良好に改善した。詳細は下記の動画へhttps://youtu...
19/07/2020

犬の椎間板ヘルニア グレード2

ミニチュアダックスフンドの急性の両後肢不全麻痺
MRIにて椎間板ヘルニアのグレード2と診断
内科治療に反応しなかったため、片側椎弓切除術を実施した。
歩行は良好に改善した。

詳細は下記の動画へ

https://youtu.be/bLp3nzCNZ6E

ミニチュアダックスフンドの急性の両後肢不全麻痺 MRIにて椎間板ヘルニアのグレード2と診断 内科治療に反応しなかったため、片側椎弓切除術を実施した。 歩行は良好に改善した。

チワワ 8歳齢 去勢雄2週間前より、下痢・嘔吐・食欲不振があり、かかりつけ動物病院を受診し、支持療法を受けるも改善せず。10日前には、血液検査にてALB1.0g/dlと重度の低蛋白血症を示し、CRP1.8mg/dlと上昇も確認された。低脂肪...
15/07/2020

チワワ 8歳齢 去勢雄
2週間前より、下痢・嘔吐・食欲不振があり、かかりつけ動物病院を受診し、支持療法を受けるも改善せず。10日前には、血液検査にてALB1.0g/dlと重度の低蛋白血症を示し、CRP1.8mg/dlと上昇も確認された。低脂肪食に切り替え、一般状態は一時的に徐々に改善したが、2日前にはALB1.7g/dlと依然低かったため、プレドニゾロンを皮下投与し、その後も状態低下が持続したため、新潟動物画像診断センターを紹介受診した。
来院時の血液検査にてALB2.3g/dlと依然、低蛋白血症が持続していた。CT検査にて明らかな消化管の異常は確認されず、腹腔内リンパ節の腫大も確認されなかった。内視鏡検査にて、十二指腸には軽度の粘膜発赤があるのみであったが、空腸において粘膜表面に多くの乳びが確認されており、蛋白漏出性腸症の中心病変であると特定された。同部位をバイオプシー検査したところ、低グレードリンパ腫と診断された。
治療としてプレドニゾロンを病理検査結果が出るまで実施したところ、下痢は消失し、低蛋白血症も消失していた。リンパ腫治療として、さらにクロラムブシルの治療を提示したが、飼い主が希望しなかったため、ステロイド治療のみで継続中である。

蛋白漏出性腸症は、IBD(炎症性腸疾患)で引き起こされることはあるが、リンパ腫でも発症しする。また高グレードリンパ腫は、多剤併用療法による化学療法が実施されることが多いが、猫に多く認められる低グレードリンパ腫は、犬においては珍しい疾患である。
犬の低グレードリンパ腫は、T細胞性のリンパ腫が多く、クロラムブシルとプレドニゾロンの治療が推奨され、治療反応率は70%、生存中央値は424日と報告されている(JSAP2018年)。
治療反応に乏しい、低蛋白血症が確認された場合には、蛋白漏出性腸症を考慮して、内視鏡検査が推奨されるが、重度の低蛋白血症(ALB1.5g/dl以下)では麻酔中の低血圧も懸念されることから、あまり経過を見すぎず、低蛋白血症が進行する間に速やかに内視鏡検査へつなげることが重要である。

執筆のお知らせ○伴侶動物画像診断(2020年6月号)http://www.pet-honpo.com/magazine/gazou/post-770/特集「脊椎・脊髄の画像診断」の監修と「脊椎のX線検査」を執筆させていただいております。脊椎...
06/07/2020

執筆のお知らせ

○伴侶動物画像診断(2020年6月号)
http://www.pet-honpo.com/magazine/gazou/post-770/
特集「脊椎・脊髄の画像診断」の監修と「脊椎のX線検査」を執筆させていただいております。
脊椎のレントゲン、神経疾患だからとあきらめていませんか?わかることも多々あるので頑張って読影をしましょうというお話です。

○CAP(2020年7月号)
http://www.pet-honpo.com/magazine/cap/cap-166/
X線読影 プロフェッショナルの思考回路 第5回 「Case3:胸部X線2」を執筆させていただいております。
左肺前葉の無気肺、これはなんだか読影できますか?是非一読ください。

【特集】部位別の基本描出シリーズ毎号ひとつの臓器や部位に焦点を当て、X線検査、超音波検査を軸にCT検査・MRI検査、内視鏡検査などの各モダリティをイラストや写真を豊富に使用し徹底解説。今回取り上げるテーマは「...

左後肢浮腫を呈した犬パピヨン 14歳齢 避妊雌元々、股関節疾患を指摘されていたが、4か月前に左後肢の腫脹とナックリングがあることに気づき、かかりつけ動物病院を受診した。X線撮影において股関節のDJDがあるのみで、明確な病変が存在していなかっ...
05/07/2020

左後肢浮腫を呈した犬

パピヨン 14歳齢 避妊雌
元々、股関節疾患を指摘されていたが、4か月前に左後肢の腫脹とナックリングがあることに気づき、かかりつけ動物病院を受診した。X線撮影において股関節のDJDがあるのみで、明確な病変が存在していなかったが、対症療法としてNSAIDsを投与したが、改善がなかったため、プレドニゾロンを投与したところ、腫脹が消失してほぼ正常な歩行に戻った。
その後、症状の再発があり、ステロイド投与を繰り返すが、徐々に左後肢の浮腫が改善しなくなったため、新潟動物画像診断センターを紹介受診した。
 当院のX線検査においても明らかな骨変化は骨盤周囲に確認されなかった。
 しかし、左腰部に超音波検査を実施すると皮下にやや低エコーな軟部組織腫瘤が確認された。同部位を精査する目的で、CT検査・バイオプシー検査が実施された。
CT検査にて大血管を巻き込み、左股関節も囲むように存在する巨大な腫瘤病変が確認された。浮腫の原因は血管系を巻き込んでいるからであると推察された。同部位のバイオプシー検査を実施したところ、肉腫と診断された。
 左後肢の断脚および左骨盤の片側切除も治療の選択肢として考慮されたが、高齢であることから飼い主は、直腸圧迫の低減などの緩和治療を目的として放射線治療を希望した。
 放射線治療は1回8Gy、週1回、合計4回(総線量32Gy)が実施された。実施直後のCT検査においては腫瘍の縮小はなかったものの、増大が確認されなかったことから増殖抑制が認められた。また排便もやや出しにくいものの、自力で可能であり、一般状態は良好に維持されて経過観察中である。

<まとめ>
骨盤周囲の腫瘍は周囲の厚い筋肉群の影響で発見が遅れる可能性がある。今回、発見が遅れた要因として、もともとDJDがあったことと、骨溶解などが確認されなかったことであろう。その際には、スクリーニング検査として超音波検査を実施することも重要である。

猫の両後肢不全麻痺アメリカンショートヘアー 5歳齢 避妊雌腰が落ちて、歩様がゆっくりであることに気づき、2日後にかかりつけ動物病院を受診した(第3病日)。血液検査にて明らかな異常は確認されず、経過観察となった。その後、食欲が低下し、両後肢が...
04/07/2020

猫の両後肢不全麻痺

アメリカンショートヘアー 5歳齢 避妊雌
腰が落ちて、歩様がゆっくりであることに気づき、2日後にかかりつけ動物病院を受診した(第3病日)。血液検査にて明らかな異常は確認されず、経過観察となった。
その後、食欲が低下し、両後肢がもつれるようになり、第7病日に再度、動物病院を受診した。X線検査にて、腰部・後肢・胸部を撮影し、明らかな異常が確認されなかったが、対症療法としてプレドニゾロンの内服を開始した。ステロイド投与後は、食欲は戻り、両後肢もだんだんとしっかりとして歩行可能に戻った。
第7病日のX線画像は、セカンドオピニオンとして新潟動物画像診断センターに読影依頼された。後肢や腰椎に異常がなかったものの、胸部X線画像において、T8腹側に軟部組織腫瘤が発見され、同部位を含めたCT・MRI検査を飼い主に提案したところ、飼い主が希望したため、第17病日に新潟動物画像診断センターに来院した。
再度X線検査を実施したところT8付近の腫瘤病変は前回より不鮮明化していた。
神経学的検査にて、左後肢の姿勢反応の低下が認められたものの、脊髄反射は正常であり、ほぼ正常に近い歩行ができるまで回復していた。
第3分節を中心とした病変を疑い、胸腰部のMRI・CT検査を実施した。
MRIにてT8レベルの脊髄を髄外から圧迫する病変が確認されるとともに、椎体周囲を取り囲むように軟部組織病変が形成されていた。
CT検査にて、全身にその他の病変形成は確認されず、CTガイドにてFNAを実施した。採取された細胞診にてリンパ腫と確定された。
ステロイドを継続しつつ、リンパ腫に対してはかかりつけ動物病院にて化学療法を実施中である。

<まとめ>
後肢の異常に対し、当初から血栓塞栓症は除外されていたものの、かかりつけ動物病院では、判断困難であったが、当施設に遠隔画像診断を依頼したことで、T8病変の発見にとつながった。脳脊髄液検査においてはリンパ腫を証明するものは存在しなかったものの、CTガイドFNAも同時に実施したことで、確定診断とつなげられた。

12/06/2020

Oesophageal Foreign Bodies in Cats: Clinical and Anatomic Findings
Naglaa A Abd Elkader
PLoS One. 2020 Jun 2;15(6)

背景:解剖学的猫モデルは、臨床所見と解剖学的特徴と食道を通過する異物の経過との関係を理解するのに役立ちます。 この研究には2つの目標があります。1)物理的、放射線学的、および内視鏡検査を使用して、猫患者の食道異物を評価し、それらの場所が治療計画と合併症にどのように影響するか。 2)食道の解剖学的鋭角が異物の滞留にどのように寄与するか。この研究には35匹の猫を対象とした。それらの30頭は臨床的に疾患で、5匹の猫が解剖学的研究に使用された。

結果:臨床症状のある猫は、完全な臨床検査と放射線検査を受けた。内視鏡検査は5例のみで行われた。異物の発生が最も多かったのは、咽頭の尾側にある食道入口(63.3%)で、続いて胸部入口(26.7%)と頸部食道の中間(10%)であった。2種類の異物、縫い針(25/30)と骨(5/30)が確認された。X線撮影では、30匹の罹患猫すべての異物の場所と性質を特定できた。異物の性質と位置、および関連する合併症に応じて、治療計画が適用された。異物の除去は、17/30例ではロチェスターピーン動脈鉗子を使用して、8/30例では完全な外科的介入を使用して、および5/30例では内視鏡検査で達成されました。

結論:結果は、異物の位置が摂取された異物の種類と猫の食道の解剖学的特徴の組み合わせに強く関連していることを示唆しています。猫の食道は、多様な鋭角を有しており、硬く直線状で角張った異物の取り込みを容易にする。X線画像は、放射線不透過性異物の場所と性質を決定するために最も頻繁に使用される診断モダリティである。すべての合併症発生率は低かった(6/30)。

<コメント>
猫の食道異物は、過去にもいくつか報告が出ているように、頭側、特に咽頭尾側の食道入り口に多く認められます。レントゲン不透過性の針などが多いことから、特に猫ではレントゲン撮影を頸部中心にまず撮影することが重要ですね。

消化器症状と白血球上昇が長期持続した猫雑種猫 13歳齢 去勢雄3か月前に嘔吐・食欲低下が認められ、かかりつけ動物病院を受診した。血液検査にて白血球上昇(31200/μl)が認められたものの、X線検査で異常がなかったため、無処置で経過を見たと...
11/06/2020

消化器症状と白血球上昇が長期持続した猫

雑種猫 13歳齢 去勢雄
3か月前に嘔吐・食欲低下が認められ、かかりつけ動物病院を受診した。血液検査にて白血球上昇(31200/μl)が認められたものの、X線検査で異常がなかったため、無処置で経過を見たところ症状は改善傾向となった。
2か月前には再度食欲低下傾向となり、1か月半前に再度かかりつけ動物病院を受診した。血液検査では白血球上昇の持続とHtの低下、低アルブミン血症が確認された。プレドニゾロンを処方したところ、食欲は再度改善傾向となった。
1か月前には血液検査で白血球上昇(44000/μl)の持続が確認され、抗生剤投与を実施するものの、食欲の改善は認められなかった。その後も食欲の改善はなく、嘔吐が認められ、2週間前にも白血球数が51900/μlと上昇しており、その精査として新潟動物画像診断センターを紹介受診した。

血液検査では、依然として白血球数は45100/μlは上昇が持続しており、好中球を主体として増加しているとともに、幼若リンパ球が少数確認された。
X線検査において胸部に異常はなかったものの、腹部において膀胱側領域で、漿膜面ディテイルの低下が認められた。VD像でも右尾側領域で消化管構造の異常が認められた。

腹部の精査を目的に全身のCT検査が実施された。右腹部尾側において、小腸壁が限局的に肥厚している領域が確認された。

小腸部をエコーガイドにてtru-cut biopsyを実施し、内視鏡検査にて十二指腸も生検をしたが、ともにリンパ腫と診断された。T細胞性・高グレードであり、末梢血に異形リンパがあることから、ステージ5と判断された。
症例は、Lアスパラギナーゼで導入され、その後に化学療法が継続されたが、食欲低下は改善し、嘔吐も消失している。

<まとめ>
白血球上昇は、小腸病変の形成に伴う炎症が持続したと考えられ、決定的な治療ができていなかったことで3か月間炎症が持続していたと思われる。X線検査も2度事前に実施されていたが、繰り返し撮影しつつ、消化管の変化に着目するとX線画像においても原因部位の特定が可能である。もちろん超音波検査でも描出は可能であったが、スクリーニング検査としてX線検査でプローブにて念入りに調べるべき部位の「当たり」をつけることは重要と考えられる
X線検査のVD像で見える異常領域は一見すると大腸内の糞塊のようにも見えるが、正常な結腸走行を考慮すると、同部位に結腸が存在することは考えにくく、異常な小腸部分に食渣やガスが停留し、類似所見を作り出していたと思われた。

口腔内メラノーマの放射線治療ミニチュアダックスフンド 14歳齢 去勢雄歯石があったことから3週間前に歯科処置のため、麻酔がかけられた際に歯肉腫瘤が発見され、同部位のバイオプシー検査にてメラノーマと診断された。切除困難と判断され、新潟動物画像...
02/06/2020

口腔内メラノーマの放射線治療

ミニチュアダックスフンド 14歳齢 去勢雄
歯石があったことから3週間前に歯科処置のため、麻酔がかけられた際に歯肉腫瘤が発見され、同部位のバイオプシー検査にてメラノーマと診断された。
切除困難と判断され、新潟動物画像診断センターに紹介来院した。
腫瘍は右上顎歯肉のみならず、右鼻腔内まで浸潤していたが、明らかな転移所見は確認されなかった。
緩和治療として放射線治療を希望したため、1回8Gy、週1回、合計4回(総線量32Gy)が実施され、増感剤としてカルボプラチンも同時に投与された。
治療反応はよく、放射線治療(RT)終了直後のCT検査では明らかな縮小が確認され、さらに1か月後にはほぼ確認困難な状況までになった。
明らかな転移所見もなく、現在は追加治療として分子標的薬の治療を継続している。

この症例は、山形県から当院まで片道3時間半かけて通院していた症例だが、飼い主様は満足されており、それだけの見返りが得られたと思われる。

猫の髄膜腫の画像診断雑種猫 15歳齢 避妊雌2日前に突然の全身性痙攣発作があり、2日前には5回、1日前には4回の発作を起こして、新潟動物画像診断センターに来院した。MRIにて右側頭葉に側頭骨に沿うように造影増強される軟部組織病変が形成されて...
01/06/2020

猫の髄膜腫の画像診断

雑種猫 15歳齢 避妊雌
2日前に突然の全身性痙攣発作があり、2日前には5回、1日前には4回の発作を起こして、新潟動物画像診断センターに来院した。
MRIにて右側頭葉に側頭骨に沿うように造影増強される軟部組織病変が形成されていた。また隣接する側頭骨はT2WI低信号・T1WI低信号に変化していた。
CT検査においては造影増強される腫瘤とともに右側頭骨の硬化・肥厚が認められた。
画像所見より髄膜腫が強く疑われた。
髄膜腫は犬において過剰骨形成をすることは稀だが、過去の報告によると猫では73%に認められるとされ、猫の髄膜腫の特徴的な所見の一つである。CTでのみならず、MRIでも信号強度の変化が右側頭骨で確認できる。
造影増強が強く、髄膜に沿うように観察され、明瞭なdural tail signはなかったもののこれらより髄膜腫と診断した。

01/06/2020

猫の髄膜腫

雑種猫 15歳齢 避妊雌
2日前に突然の全身性痙攣発作があり、2日前には5回、1日前には4回の発作を起こして、新潟動物画像診断センターに来院した。
発作は、口を動かす頭部を主体とした発作から、左前後肢を動かす全般性発作に移行している様子が動画でわかる。
病変が右側頭葉にあったことから、左半身主体の発作が引き起こされていたと考えられる。
猫のてんかん発作は初発が1-4歳齢が多く、今回の症例は15歳齢と高齢であることからも原因疾患のため、早急なMRI検査が実施された。若齢・高齢の猫の発作には注意が必要である。

6月に発売される、伴侶動物画像診断(No.23)では「脊椎・脊髄」の特集をしています。今回、坂大が監修および脊椎のX線検査について執筆させてもらっています。ご興味のある先生は是非ご購入をご検討ください。http://www.pet-honp...
29/05/2020

6月に発売される、伴侶動物画像診断(No.23)では「脊椎・脊髄」の特集をしています。
今回、坂大が監修および脊椎のX線検査について執筆させてもらっています。
ご興味のある先生は是非ご購入をご検討ください。
http://www.pet-honpo.com/magazine/gazou/post-770/

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喜多町427- 4
Nagaoka-shi, Niigata
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