
30/01/2025
タンカーの座礁事故により発生する海鳥の油汚染鳥の救護過程の洗浄作業は野鳥にとっては恐怖そのものである。動物倫理上好ましくないので、Dr.Kekkeyによって、鎮静剤投与による洗浄が推奨されている。しかし、症例が少ないので慎重な行動が必要であるが、今後はこの方法が主流となると思われる。
油汚染鳥の鎮静投与による除染作業時の鎮静剤量
ベトルファールとミダゾラムは混合してim(筋肉内投与)
作業終了時にはフルマゼニルで覚醒を図る
体温監視が重要
ベトルファール5mg/ml 2mg/kg im ミダゾラム10mg/ml 1.0mg/kg im フルマゼニル 0.1mg/kg(1.0ml iv or im)
ブトルファノールは、ブリストル・マイヤーズ社が開発したモルフィナン型の合成オピオイド鎮痛薬である。
ミダゾラムはベンゾジアゼピン 系の麻酔導入薬・鎮静薬の一つである。日本での商品名はドルミカムおよびミダフレッサ静注0.1%。 静脈内注射後、通常10秒から2分以内に効果が発現し、1 - 6時間継続する。投与後の最大効果発現はおよそ10分後である。imの投与も可能。
フルマゼニルはベンゾジアゼピン系薬剤(ミダゾラム)の拮抗薬で、ミダゾラムによる鎮静からの回復と呼吸抑制の改善に使用される。
◎洗浄過程入るまでの洗浄可能個体の選択は従来の方法で厳格に行い、鳥らしく行動でき、KS4以上で、体温も39℃近くを示している健康と診断される汚染鳥を選抜する。鳥の体温に関して、通常は安静時には39℃を少し超える程度であることが多いが、体温測定時の騒擾で臨床的には40℃を超えていることも多い。洗浄開始前2時間には充分に給餌するか、経管投与による強制給餌を実施する。その後で、本法による鎮静状態を得て、洗浄過程における鳥の恐怖・騒擾を抑制して、洗浄過程をスムースに進めて、除染効果を早期に得ることができる。この方法は全ての救護過程に入った野生動物の治療に際して適応して、恐怖を与えることなく、騒擾することもなく、順調に手当が進むことが期待できる。しかし臨床例が少ないので、慎重に投与して経過を観察する必要がある。鎮静下の洗浄中は時々低体温に陥っていないことを確認する。
Citation Download Citation 出典:
Cristin N. Kelley, Terra R. Kelly, Kylie Clatterbuck, Michelle C. Knapp, Julie Skoglund, and Rebecca S. Duerr "Comparison of Manual Restraint With and Without Sedation on Outcomes for Wild Birds Undergoing Decontamination," Journal of Avian Medicine and Surgery 38(2), 67-74, (3 July 2024).
The decontamination process for plumage-contaminated wild birds, such as those affected by oil spills, is lengthy and involves manual restraint and manipulation of all body parts. Birds commonly react to this in ways that suggest they are extremely stressed (eg, struggling, vocalizing). We proposed....